Lakitでレッスンを担当するクリエイターさんの素顔をご紹介する、大人気!インタビュー企画第3弾!
レッスン動画だけではなかなか知ることのできないクリエイターさんのお人柄や、いままでのご経験をくわしくご紹介していきます。
クリエイティブな活動をされている方は、「最初から描いたり作ったりするのが上手な、自分とは遠い存在」に見えてしまいがち。でも、私たちと同じように、どんなクリエイターさんにもきっと初めての挑戦があったはず。
レッスン撮影中のクリエイターさんに直撃して、新しくなにかを始めたい方への励ましになるエピソードや、気づきになりそうなヒントをいろいろと聞いてきました!
スタジオ潜入👀
レタリング作家としてご活躍中のbechoriさんと一緒に、Lakitで第4弾となるレッスンを撮影中📷
「手書きをもっとたのしむ」ために、ボールペンでデザイン性の高いハンドレタリングを学びます。
bechoriさんとLakitスタッフでイチから打ち合わせを重ね、いろいろなアルファベット書体と飾りを組み合わせて様々なシーンで応用できる内容に作りこんでいきました。
\ Lakitでbechoriさんから教えてもらおう! /
とっても気さくなbechoriさんに、撮影の合間の時間で直撃インタビューをさせていただきました✨
bechoriさんはレタリング作家としてご活躍中ですが、プロフィールをひも解くと、レタリング作家になる前には会社員経験も。しかも「2016年に独学でレタリングをはじめた」というご経歴。
どうしてレタリングを?しかも独学で??聞けば聞くほど、気になるポイント続き!
一度聞いたら忘れられない不思議なペンネームの由来や、普段のクリエイティブにつながるエピソードをいろいろ聞けましたよ!
レタリング作家になったきっかけ
ープロフィールに「2016年に独学でレタリングを始めた」とあるのですが、何かきっかけがあったのですか?
bechoriさん:きっかけはYouTubeの動画ですね。たまたま、「おすすめ」にパイロット社のNAMIKI FALCONという万年筆でいろいろ書いている動画が出てきたんです。それが「なんだこれは!」と衝撃だったんですよ。動画の中で使われていた万年筆が日本メーカーのもの(※)だったので、自分でもやってみよう!と思ったんですよね。
(※:動画内で使われている万年筆は個人がカスタマイズしたもので、正規品そのままではないようです。詳しくは動画をご確認ください。)
ーなるほど。その動画は当時とてもバズっていましたよね。私も見ました!
“文字をかく”、幼いころの原体験
ーでも、やってみようと思ってすぐに始められるということは、それ以前に「字を書く」ことが身近にあったのでしょうか?
bechoriさん:小さい時から文字を書くのは好きでしたね。自分では覚えていないのですが、新聞広告とか折込チラシの目立つフォントの上に紙を重ねて、それをなぞって遊んでいたみたいです。
小学校の時には親に頼んで、習字教室にいかせてもらっていました。「字を書くんだ」という謎の使命感を持っていました(笑)。
中学・高校の時もきれいに板書をかくことにこだわりがあって、先生が口頭で言った細かい説明まで書いてある、参考書みたいなノートを作っていました。まさに情熱を注いで “命を懸けて” いました(笑)。
学年中から頼りにされた “手書きノート”
bechoriさん:高校1年生の時、テスト前に自分の楽しみで書いていたノートが、知らないうちにみんなの間に回っていたことがあったんですよね。しかも学年中に。
ー学年中にですか!いったいどうしてそんなことになったのですか?
bechoriさん:一夜漬けの人が最後に頼りにするカンぺ(カンニングペーパー)みたいな。もともと誰かに貸したノートがコピーされて、そのコピーがコピーされて、さらにそのコピーが・・・という風に広まっていたようです。
先生にもびっくりされましたし、廊下を歩いていて、話したことがない人からも「あのノートすごいな!助かったよ!!」と声をかけられることもあって嬉しかったんです。自分の書いた文字が誰かに喜ばれるというのを、その時はじめて経験しました。これは高校3年間と、その後の大学4年間もずっとつづきましたね。
ー学年中から頼りにされるノートというのはすごいですね!私も学生時代にそんなノートに出会っていたらコピーをさせてもらいたかったです。
ーちなみにお話にあった “きれいにかく” というのは、“ノートをきれいにまとめる” ということですか?それとも “文字を読みやすく” ということですか?そこまで真剣にノートをとっていらっしゃたのは、進学校といいますか、真面目な生徒だったのかな?と思いまして…。
bechoriさん:見やすい文字をかくほうです。真面目というより純粋にノートをかくことが楽しかったんですよ。幼いころからフォントをなぞって書いていたからか、普段の文字もちょっと丸文字と言いますか、フォントみたいな文字を手書きで書くのが見やすいな、と思っていたんです。
カフェ勤務時代☕、手書き文字のパワーを実感!
ーカフェで働いていた時も、文字が人に喜ばれるという経験があったそうですね?
bechoriさん:そうですね。カフェでは黒板にPOSCAやチョークで ”オファーリングボード” という看板を書くことがあるんです。
ある時、当日に賞味期限がきれてしまう食べ物がたくさんあって、お店としてどうしても今日のうちに売りきりたい!となり、その宣伝をするためのオファーリングボードを描いたんです。
そうしたら、飲み物の注文したお客さんが自分の描いたボードを指さして、「あれも」と言ってくれたんですよね。それが何人も続いて、結果その食べ物を売り切ることができました。
自分の文字が商品の魅力を伝えて、相手に行動をおこしてもらうことにつながったんですよね。その時に手書きの力を感じました。
ーそれはすごくうれしいことですね!!
レタリング “備忘録” を発信!
ーもともと“文字を書くことが楽しい”というご経験があったから、YouTube動画を見たときに文字を書くことへの興味が再燃というか、やってみよう!という気持ちになられたんですね。SNSに手書き作品を載せ始めたのは同じタイミングですか?
bechoriさん:そうですね。レタリングをはじめたのと同じころです。もともと練習の備忘録としてSNS、とくにInstagramをはじめたんです。その頃「#手書きツイート」が流行っていて、自分の思っていることを手書き文字で投稿していたら、いいねがつくようになりました。
日本語メインで少しアルファベットの文字も、という感じで、最初のころは毎日何かしら投稿していたんです。あるとき、コメントでアルファベットはどうやって書いているのかを聞かれたので、次の投稿時にアルファベットを書いている動画の投稿をしたらすごく “いいね” がついたことがありました。
ー毎日Instagramに投稿していた、ということですが、毎日となるとネタ切れというか、フレーズがマンネリになってしまったり、繰り返しに飽きたりはしませんでしたか?
bechoriさん:かくフレーズ・内容は気分によって日本語レタリングのこともあればアルファベットのレタリングをすることもありました。フレーズに迷ったときは、格言やポジティブな言葉をかいたりして変えていましたね。
ーなるほど。練習だからと言って同じ言葉ばかりを練習する必要はなく、楽しく続けられるように、好きなフレーズをかくこともおすすめですね!好きな言葉ならいくらでも続けられそうです。
ーところで、bechoriさんの作品を見ていると、手書きだと知っていても、印刷のように見えるときがあります。レタリングの練習を行う時にお手本や、ロールモデルがいたんですか?
bechoriさん:僕がレタリングをはじめたころ、日本でレタリングについて発信している人はほとんどいなかったんですよ。一方海外には、手書きで文字を書くことを生業にしている人がいることを知ったんですよね。その人たちの動画やPinterestの画像を見ながら、レタリングの練習をするようになりました。
そのころは会社員だったんですけど、絶対に残業をしないと決めて、家に帰ってから毎日寝るまで3時間くらい文字を書いていました。休みの日は朝から晩まで一日中。かくことが純粋に楽しくて、ひたすら毎日文字を書き続けられましたね。
大手検索エンジンが運営している動画サービスにレタリングのHOW TO動画を投稿しはじめると、企業からもだんだん声がかかるようになりました。それでレタリングで十分な収入を得られるようにもなってきたんです。
その頃、講師としてのお声をかけてもらったのでワークショップをはじめて開催してみたところ、定員が全部埋まって手ごたえを感じたということもあり、いざ、会社員を辞めてレタリングを本業にすることにしました。
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ペンネームの由来は?
ー今回一番聞きたかったことの一つでもあるのですが(笑)、bechori(べちょり)さんというペンネームの由来をお聞きしてもいいですか?
bechoriさん:あはは!よくワークショップをしていても聞かれますよ!
もともとは、自分がカフェで働いていた時に呼ばれていたあだ名なんです。本名の一部を取った「べちょ(becho)」そこから派生した「べちょり(bechori)」というあだ名で呼んでもらっていたんです。
SNSでユーザー登録をするときに、親しみがわく名前にしようと思い、自分にとってなじみのあるあだ名の「bechori」にしました。
ーあだ名だったんですね。不思議な響きのお名前なので、どういう由来かずっと気になっていたんです。
bechoriさん:珍しいのか、よく覚えていただけます(笑)
レタリングの中の “自分らしさ”
ーbechoriさんの作品を拝見していると、いろいろなフォントを違う種類のペンで描き分けていらっしゃる印象ですが、こういうフォントを描こう、という時になにか意識している点はあるのでしょうか?
bechoriさん:そうですね。僕の文字は、見た人に “bechoriぽさ” を感じてもらえるフォントみたいな手書き文字を書きたいと思っているんですよね。
ー具体的にはどういったところが “bechoriさんぽさ” ですか?
bechoriさん:例えば、僕自身は服や身近なものはシンプルが好きなんです。だから、文字も規則性がありシンプルに書きたいと思っていますね。
僕の普段の少し丸文字っぽい部分を残して、シンプルだけど見た人が「あいつが描いた文字だ」と分かるようなものになっている。整えられたフォントに見えるけど、フリーハンドがベースになっている、というものを描こうと思っています。
ーたしかにbechoriさんの作品から伝わる印象のままです。フォントから感じられる、共通した “bechoriさんぽさ” がbechoriさんのレタリングの魅力ですね。
インスピレーションがわかない時は?
ー例えば新しいフォントを考えるときなどのインスピレーションはどう得ているんですか?何も思いつかない時はどういうことをしますか?
bechoriさん:全くインスピレーションがわかない時は、違うジャンルの作品を描いている他の作家さんの作品を見たりしますね。全く文字から離れて、散歩をしてみたりもします。
でも結局、散歩をしていても文字に興味があるので、道すがら看板のフォントが気になってしまうんです(笑)。写真にとって、後でその看板のフォントを真似て、練習したりもしますよ。
ー看板のフォントですか。よく街中で見かけるものですが、例えば、一番のお気に入りの看板のフォントはどういうものなんですか?
bechoriさん:一番目にとまるのは、やはり手書きの看板です。手書きのA型看板が外に立てかけてあると、写真にとったりします。
ー寝ても覚めても文字のことがずっと頭のどこかにあるんですね。
後編へ続く