LakitスタッフOです。
クリエイティブな活動をされている方は、「最初から描いたり作ったりするのが上手な、自分とは遠い存在」に見えてしまいがち。でも、私たちと同じように、どんなクリエイターさんにもきっと初めての挑戦があったはず。
Lakitでもご活躍中のクリエイターの方々にインタビューして、レッスン動画ではなかなか知ることのできないクリエイターさんの人柄や、いままでのご経験をくわしくご紹介していく企画の第4弾です。
今回も撮影中のクリエイターさんに直撃してお話を伺いましたよ。
今回はLakitのサービススタート当初からレッスンをしていただいている、若井美鈴さんをご紹介します!
スタジオ潜入👀
チョークアート/ハンドレタリング作家としてご活躍中の若井美鈴さんが、Lakitで4つ目のレッスンを撮影中📷
過去3回はチョークアートのレッスンでしたが、今回はメッセージカードや手帳をかわいくする「手描き装飾」がテーマです。
手帳などにペンでかわいらしく描けるフレームや模様の描き方を学びます。
若井さんはチョークアート作家であるとともに、ハンドレタリング作家でもいらっしゃるのです!!
若井美鈴さんインタビュー
撮影の合間の時間で、直撃インタビューをさせていただきました✨
若井さんのお仕事内容をSNSなどで拝見すると、とっても幅広くご活躍中です。そもそもチョークアートって珍しいですよね??
どのような経験からクリエイティブ活動を始められたのか、普段どのように幅広いアイデアの引き出しを蓄えていらっしゃるのか、いろいろと聞いてきましたよ!
クリエイティブな活動を始めたきっかけ
―――現在はチョークアートだけでなく、レタリングやイラスト(タイポグラフィ)などいろいろなクリエイティブ活動を行っていらっしゃいます。そもそも最初にクリエイティブなことを始めたのはどういうきっかけだったのですか?
若井さん「最初に就職した先で、美容師のアシスタントをしていたのですが、ヘアーショーの衣装づくりをしていました。その時に、撮影のバック紙に背景イラストを描いたりスタイリングすることを担当していたのですが、それ自体が楽しくなってしまったので、アシスタントの仕事をやめて・・・というのがきっかけです」
―――もともと美容師を目指されていたのですね!
「そうです。アシスタントでやめてしまいましたが、もともとは美容師を目指して上京しました。」
―――衣装のバック紙というのは?
「担当内容はショーのためにモデルさんが着る衣装を作ったり、服飾もやっていました。撮影のスタイリングといって、背景に花を描いたり、画面を作っていました。
バック紙というのは幅が2~3メートルくらいある巻きの紙のことです。背景に使うので構成を考えて絵を描くこともしました。それがきっかけでものづくりをするのがだんだん楽しくなってきて、『せっかく東京にいるならいろいろ探してみたい!』と思って美容師のアシスタントをやめたんですよね」
―――いきなり2~3メートルの背景を描いて、、、というのは初めてだととても難しいように思います。もともと絵は得意だったのですか?
「ある程度構成を決めてから取りかかるので、いきなり描くわけではないですし、そんなに難しくはないですよ。
もともと中学生のとき美術部に所属していたんです。その時に水彩とデッサンで絵を描く基礎をやっていた経験があったので、さほど抵抗はありませんでした。」
―――基礎がもともとあったのですね。その後はどういう経緯でチョークアートを始めたんですか?
「美容師を目指すことを辞めてから、ある遊園地のショーの裏方で衣装制作などをアルバイトでしていました。
そのころ、ちょうど韓流ブームで、見ていた韓国ドラマの中でチョークアートの看板が使われていたんです。あれはどういうものなんだろう?と疑問に思い気になっていたのですが、当時は調べるすべがなく・・・。
しばらくして、たまたま職場で流れていたラジオでチョークアートについて紹介されていたことをきっかけに、最初は習い事としてチョークアートを始めました。」
―――ドラマでチョークアートを見て、ということですが、当時チョークアートをしている方は少なかったのでは?
「そうですね。チョークアートという言葉自体が、そもそも一般的ではなかったかもしれません。
チョークアートの作品はたまたまドラマで見ていたこともあって、できる気がする・・・!!!と思って(笑)、ビビビときました。
ショーの裏方として色々見ていく中で、画面全体を構成する仕事に興味がわいて面白さを感じていたこともありました。
それまでの私は黒地に絵を描く、黒板に絵をかいて看板になっているものを見たことがなかったんですよね。でも、イラストと文字で画面を作っているというのが、なんだか自分でもできそうだな、と。」
―――やりかた云々ではなく、構成された作品を見てできそうだな、と思われたんですね。新しいことに取り組むときは、どうやって始めることが多いですか?
「ラジオを聴いたときに習い事として教室をしているところを見つけたので、2年くらいチョークアートを習いました。
新しいことを始めるときは、プロの人に聞くのが一番の近道だと思っているので、真似したりやっている人に実際に聞いてみる、というのがいいと思います。
真似をする人は誰でもいいというわけではもちろんなくて、自分が実際にやってみたいと思えるものを描いている人から習うことも実際に続く理由だと思います。私もそうやってチョークアートを習い始めました。」
―――若井さんがレッスンを受けた、真似したいと思う方というのはどのように見つけたのですか?
「習ったのは、知るきっかけになったラジオでチョークアートの説明をされていた方でした。番組の中で “ここで教室をやっています” 、と話していたのでそれを聞いて申し込みました。
ずっとアンテナは広げていたのですが、たまたま聞いたラジオで『これずっと探していたやつだ!』と。ラジオは職場で流れていたのですが、その場ですぐにメモをとりました(笑)。」
―――すごい偶然が重なって見つけたんですね!習い事だったチョークアートをお仕事にしたきっかけはどういうところにあったのですか?
「ちょうどニューヨークの “ブルックリンスタイル” というインテリアが世の中で流行りだして、チョークアートを描いたブラックボードが定番のアイテムだったんですよね。
その時期に結婚式のウェルカムボードで ”そういうインテリア風の” という注文を多くいただけるようになりました。それがきっかけになって、飲食店のメニュー看板を描ける人を探している案件に呼んでもらえたりして。一緒にお仕事をした知人の中に建築関係の方がいたんです。
私の技術がちょうど伴ってきていたので、いろいろなラッキーが重なって注文が増えたんです。」
―――若井さんのお仕事はそれぞれの幅がとても広いですよね。メインで始めたお仕事はチョークアートではなく、イラストやレタリングが先だったのですか?
「もともとはチョークアートがメインで、その後にレタリングが加わってきました。看板は文字とイラストで構成されて、見栄えをあげるために必ず装飾文字が入ってきます。なので、絵だけでなく、文字にもいろいろアンテナを張っていたんです。
だんだんと自分でも独学で書けるようになってきたり、ブルックリンスタイルインテリアの潮流で、今度はタイポグラフィーが流行るんですけど、その時期と私の技術が伴ってきたタイミングがちょうど重なったんですよね。
そうなると、今度は文字だけの看板の仕事も増えてきたんです。そしてその看板を見た別の方から、また注文をいただいて・・・、という感じで。インテリアの一つとして黒板の人気が高まってきたことが大きいのかなと思います。」
―――ショーの裏方のお仕事から次のステップアップがチョークアーティストとしてだったのですね。レタリングは独学ですか?
「もともと中学校の美術の時間にレタリングの基礎を習ったことを覚えていて、それが楽しかった記憶があったんですよね。
タイポグラフィーというのは『文字で構成されているデザイン作品』のことで、レタリングは『文字を書く技術』になるのですが、どういうデザインを加えたらかわいくなるかな、とかを考えながらいろいろ試行錯誤してデザインのアイデアを書き溜めていきました。
文字だけで構成されるものを、どう見せたらインテリアとして、あるいは模様として美しく見せられるかという、画面としての見せ方を重視して作っています。」
―――お仕事の種類はどんなものがあるんですか?
「基本的にはクライアントさんがいる仕事が多いですね。その次に多いのがチョークアートを教える仕事で、その次が自分の作品作りという感じです。
クライアントのいる仕事をするたびに、新鮮なインプットがあるので、新たに得たインプットを生徒さんにお伝えしています。いま流行っているものを描きたいと思って生徒さんは習いに来てくださっているので、そういった点はすごく喜ばれます。いい循環のサイクルができていると思います。」
―――若井さんご自身は『ラッキーだった』と仰っていますが、世の中のニーズが高まってきたタイミングでお仕事を引き寄せるのも若井さんご自身の人柄によるものなのだな、とお話をしていると感じます。
インスピレーションの受け方
―――インスピレーションはどういう時にわきますか?わからない時にはどういうことをしますか?
「興味があまりないことでもメモしたり、写真に撮ったり、ストックするようにしています。そこからクライアントさんがいる時は、それに合うものを頭の中から引き出して、組み合わせて構成しています。
例えば、歩いているときに見かけた玄関の柵の模様を見て、『どうしてこれを自分はかわいいと思ったんだろう』『どうして自分の目にとまったんだろう』と考えたりします。
そういうものを後で参考にできるように、資料としてメモにとっておくことが多いですね。」
―――クライアントがいる仕事といない仕事では、インスピレーションのわき方は違いますか?
「クライアントさんがいる仕事のときは、話をよく聞いて、基本的には自分が持っているアイデアの引き出しから、これが合うんじゃないかと出しています。
自分が主体で自分の作品を提供しているというより、主体はお客様で私は技術力を提供しているという感覚です。
私の描く作品を見て!というより、私だからできる技術を提供してクライアントさんのイメージに寄せているので、依頼に合うものを最大限を提供・提案する、という意識で取り組んでいます。」
―――引き出し、ネタ帳というのはどういう形なんですか?
「写真が多いですね。
自分が着ないタイプの洋服を売っているお店に入ったりもします。それこそメンズの服とかも見ます。違う系統のお店でも、流行っているものには共通している特徴があったりしますね。ブランドのロゴが変わったとか、一つ一つの変化をいろいろと見比べるのが楽しいんですよね。新しいロゴと昔のロゴと・・・。いま流行っているものを知らないといけないと思って。
私の作品は、ずっと残るというよりも今の流行に着目して今必要なものとして描いているので、そこに焦点を合わせて時流に合ったものを提供したいと思っています。
探し方は、インターネットでもいろいろ調べられるんですが、その一歩先を探さないといけないと思っているので本当に最新のものに目を通すようにしています。
例えば、私はチョークアートの画材などもいつも同じものばかり使うのではなく、自分にマッチするかどうかを知るためにも使ったことがないものを試すようにしています。
自分の作品には合わないと決めつけるのではなく、これを使ったとしたらこういう表現ができそうかな?とか。とりあえず試してみる。部屋の中は画材で荷物がいっぱいです(笑)。
世の中で流行っているものが自分の作品にマッチするか調べながら、常にインプットですね。でも、インプットするのがすごく大変!というわけではなく、それはもともと好きなことなんです。雑貨屋さんや図書館に行くという感覚です。」
―――試してみた結果失敗だった・・・というのはどういうとき?
「結局、代用できてしまうものは使わなかったりしますね。失敗のほうが多いかもしれません。
結果として、使い慣れているものがやっぱり良かったということもあります。新しいものを試してみるのも、それを再確認するためにやっているところもあります。
試した画材はアトリエに置いてあって、アトリエに来ていただいた生徒さんにも自由に試してもらえるようにしています。私は仕事だからいろいろ手を出して試しますが、趣味だと気軽に買えなかったりすると思うんです。」
―――趣味の範囲だといくつも買えないので、いろいろな画材が試せる場所があるとありがたいですよね。そのあたりを慮っていただけるというのは、若井さんのやさしさを感じます。
はじめてみたいクリエイティブ活動はありますか?
―――最近、面白いとおもっているもの、はじめてみたいクリエイティブ活動はありますか?
「ちょうど来月から、フラワーアレンジメントのオンライン受講を始めます!
生け花ではなく造花を使ったフラワーアレンジメントなんですが、今までキットとかは買ったことがあって、ここ数年ワークショップなども受講していました。モノを作るのが好きなので、やってみたいなと思って。
実はフラワーアレンジメントには、作品の中で花を置く位置もここにするとバランスが良いとか、ちょっとしたルールがあるのです。そういうことを知っていると、絵を描いているときにも構図の引き出しとして『先生がこういうことを言っていたな』と思い出せたりします。
自分の中で活きた知識になってくれるので、絵を描く時に役に立つところがありますね。」
はまっているもの、あつめているものはありますか?
―――はまっているもの、あつめているものはありますか?
「プレイモービルっているのがあるんですけど、ご存じですか?」
―――昔持っていました!
「日本ではいま取り扱いがなくなってしまったんですけど、ネットで買えるので集めてるんです。
すごく懐かしいですよね。これは昔から今もずっと集めている唯一のものです。多分高校生くらいから集め始めたと思います。」
―――プレイモービルは何個くらいお持ちなんですか?
「100体以上は持っています。それこそ好きな映画でシリーズが出ていたりすると、集めたり。アトリエにも何体かいますね。」
―――何がきっかけで?
「キーホルダーとかで売っていたのを買ったのが最初だと思うんですけど。
レゴはみんな知っていて持っているじゃないですか。誰ももっていないものを雑貨屋さんで探すのが好きなんです。旅行先につれていって写真を撮ったりしています。」
―――推し活ってやつですね!
「そうです。 “ぬい撮り” というのがSNS上で流行っているので、恥ずかしくなくなりましたよね。プレイモービルも旅行先で恥ずかしくなく写真に撮れます。
自撮りにあまり慣れていないので、代わってもらっています。富士山に2回登ったことがあるんですが、そのときも連れて行きました。登山好きというわけではないです(笑)。」
―――持ってきてくださったのは、コレクションの中でも一押しのものですか?
「オランダでしか売っていないゴッホのプレイモービルを持ってきました。高価だったので(笑)…というのは冗談で。美術館はアンテナを張るためにネタ探しでよくいくんですけど、そういう時にも持っていきますね。」
―――一番お好きな画家はゴッホですか?
「実は一番好きなのは浮世絵なんです。
洋画は、油絵の技法でたとえばフェルメールの “真珠の耳飾りの少女” の真珠は白一色で描いている、などの光の表現方法は先人が自分たちで編みだしたものなので技術を盗みに行くつもりで美術館には観に行きますね。」
―――クリエイターさんの美術館の見方も『絵のどういうところを見ているんだろう』ととっても気になります。
リフレッシュ方法や気分転換は?
―――日課はありますか?
「作業の時は屋内に引きこもりがちなので、朝は日光を浴びるようにしています。」
―――インプットのお話しからたくさんお出かけされている印象です。そんなに引きこもっていますか?
「創作活動に入ると本当にずっと家の中にいるので。息抜きにサイクリングしたり、仕事で行った場所を散策したりはします。
でも、意識しているのは日を浴びることですかね。あとは、手を洗うと目が覚めると聞いたことがあるので、手を洗ってからカーテンをあけるのがルーティーンです」
―――リフレッシュ方法はありますか?気分転換になるものは?
「歯磨きですね(笑)家の中ですぐできる気分転換方法ですっきりします。一日に何回もやるのはよくないかもしれないけど、結構歯磨きしちゃいますね。歯磨き粉は辛いものを使って、すっきりする感じです。無心になれる気がします。」
―――お仕事毎の切り替えはどうですか?
「基本寝ればリセットされますね。切り替えははっきりしているほうです。」
好きな文房具は?
―――好きな文房具はありますか?
「お世話になっているメーカーさんの手帳で、レイメイ藤井のシステム手帳のミニ5です。」
―――お財布かと思う小ささですね!
「ミニサイズが好きで、これも名刺が入るサイズなんです。交通ICカードなども入れていて、これさえあれば一日過ごせるものになっています。
基本的にモノをあまり持ちたくないので、かばんにすっきり入るのでミニサイズにしています。」
―――しおりがかわいいです。
「しおりは自分で元々持っていた糸をアレンジしてチャームをつけました。
この手帳はポーチ代わりでもあり、ネタ帳にもなっているんです。日ごろ撮ったメモはプリントアウトするので、それをまとめたりしています。
あとはペンの試筆などをして、外出先で新しくペンを買う時に自分が持っている画材などが手帳で把握できるようにしています。画材の筆跡を見比べるには紙が一番ですね。」
―――ご自身で作ったしおりだったのですね!グレーの色をチョイスされた理由は?
「好きな色は黄色なのですが、こちらのシリーズには展開がなくて、この色は他の小物とも合わせやすそうだな、と選びました。」
―――手帳の書き方でこだわっていることは?
「この手帳では、メモの他にコラージュを作っています。好きで集めたシールとか、かわいいマスキングテープとかをイラストと一緒に絵に描いたりします。
その時にこだわるのはやはり配色ですね。色で自分のモチベーションが上がることもあるので。一度に使うのは基本的には2-3色ですね。色数はしぼった方が見やすくて画面がまとめやすいのかなと思います。
私はカラーのボールペンはユニボールワンをよく使っています。裏うつりしにくくて、発色が良いのでお気に入りです。」
若井さん、素敵なコラージュ作品を見せていただき、ありがとうございました。
Lakitでは、若井さんが日ごろから使っているユニボールワンをつかった装飾の仕方が学べるレッスン
かわいい手描き装飾で、手帳や紙小物をデコろうがあります!
ぜひレッスンを通じて若井さんから手描き術を教ってみてくださいね。