テクスチャーアートは、絵の具で色をつけた粘度の高いペーストを使って描く抽象画のことです。水彩画や油絵などと同じように平面に描いていきますが、仕上がりは立体的なアート作品になります。
凸凹でできる影やペーストのテクスチャー(質感、手ざわり)を活かした作品を作ることが可能です。
今回は、テクスチャーアートのやり方と、画材によって異なる描き方についてそれぞれ紹介します。
\ 絵の具とペーストをつかって質感を表現する抽象画 /
テクスチャーアートのやり方には明確な決まりがない
テクスチャーアートは、「こういう形に仕上げなければならない」といった決めごとがありません。テクスチャーアートは抽象画であり、何かを見本にして描くものでもないためです。
テクスチャーアートは思いのまま楽しむものなので、絵を描くのが苦手な方でも抵抗なく始めることができます。
次の項で道具の使い方やペーストの色のつけ方など、テクスチャーアートを描くのに必要な知識を紹介します。
テクスチャーアートに取り掛かる前に必要なものをおさらい
テクスチャーアートは、紙と絵具のほかにも揃えておきたい道具がいくつかあります。テクスチャーを表現するための特徴的な道具もありますので、あらかじめ揃えておきましょう。
テクスチャーアートに必要な道具は下記の通りです。
・キャンバスや紙
木枠に布を貼ったキャンバスがよく使われます。
・ペインティングナイフ
絵を描いたり、絵の具をペーストと混ぜたり、さまざまなことに使える必須アイテムです。弾力性に優れているものを選ぶと良いでしょう。
・筆
テクスチャーアートで細かい絵を描きたいときに使います。
・アクリル絵の具
乾きやすく、混ぜたり塗ったりしやすいアクリル絵の具が、テクスチャーアートに適しています。
・ペースト
モデリングペーストを使うのが一般的です。アクリル絵の具と混ぜると立体感を出すことができます。メディウムを混ぜて使う方法もありますが、種類が多く選ぶのが難しいため、初心者の方はモデリングペーストを使うのがおすすめです。
・パレット
アクリル絵の具は乾くと固まる性質をもつため、使い捨て可能な紙製のパレットを使うのがおすすめです。
必要な画材がすべて用意されたテクスチャーアートのワークショップが各地で開催されていますが、参加費は幅があり、数千円で体験できるものもあれば1万円を超えるものもあります。
初心者向け・上級者向けなど対象者も分かれている場合がありますので、ワークショップに興味がある方は内容をよく吟味してから参加すると良いでしょう。
【テクスチャーアート】色の作り方をチェック
テクスチャーアートでは、まず色を作ることから始めます。好きな色のアクリル絵の具をパレットなどに出してそのままの色を使う、絵の具同士を混ぜて好みの色を作るなど、自分が描きたいイメージに沿って色を準備しましょう。
ペーストと混ぜると色が薄くなるので、使いたい色よりも濃いめの色を作っておくことがポイントです。また、何色か用意しておくと楽しいアートができます。
使う道具でテクスチャーアートの表現の幅が広がる
テクスチャーアートは、さまざまな道具を使って描くことができます。道具ごとに塗り方やテイストが変わるので、どの道具を使うかで同じ色でもまったく違うものができるのです。
ここでは、テクスチャーアートの手法と特徴を道具別に紹介します。
ペインティングナイフで描く
ペインティングナイフは、テクスチャーアートの必需品です。これ1本あれば、絵の具を混ぜたり塗ったりとさまざまなことに使えます。
塗り方のバリエーションが豊富なのも特徴です。平塗りや波塗り、段塗りなど、塗り方をマスターすればより細かく表現することができます。それぞれの塗り方としては、下記の通りです。
・平塗り
トーストにバターを塗るように左右に塗り広げる技法です。テクスチャーアートでよく使われる手法であり、平塗りで何度か塗り重ねるだけでもシンプルなアート作品になります。
・波塗り
平塗りのように平行にナイフを動かすのではなく、波状に動かして塗る方法です。レースなどの曲線を活かしたデザインに使えます。
・段塗り
ナイフの底面を押し付けてスタンプのように塗る方法です。羽など細かいものが集合しているものを表現するときに適しています。
ペインティングナイフにつけるペーストの量や立ち上がりを工夫することで、立体感や動きを出すことも可能です。立体的なテクスチャーアートは、見る角度によって印象が異なる作品に仕上がるので、テイストが違う作品を作ることができます。
ナイフで描く
ナイフは、ギザギザの部分とツルツルしている部分を使い分けることで、質感の違いを出して描きます。キャンバスにペーストを塗るときは、キャンバスを回しながら角度を変えてギザギザ面で塗りましょう。
色を取りながらギザギザ面で塗り広げ、ツルツルした部分でも色を取りながら塗ります。色を混ぜつつグラデーションを楽しんだり、1色ずつ載せたりするのもおすすめです。
ツルツル面とギザギザ面が対比するように塗り広げると、質感の違いを楽しめるアートになります。
フォークで描く
平行な線を表現するのに便利なのが、フォークです。
まずはスプーンの背でキャンバスにペーストを塗っていきます。スプーンを使って全体にグラデーションをつけて色を塗りましょう。
全体にまんべんなく色が塗れたら、いよいよフォークの出番です。フォークを立ててキャンバスに載せ、その状態でまっすぐ引いて線をつけましょう。
全体に縦線をつけたら、次は横方向に線をつけます。絵の具をつけながら短い線や長い線をつけ、キャンバスに模様を入れましょう。
スプーンで描く
スプーンを使う場合は、スプーンの腹でパンにバターを塗る要領で色を塗り重ねます。途中で違う色を入れながら、塗り重ねましょう。
立体感を出したい場合は、ペーストを少し多めにとって、平らに塗り広げるのではなく載せるようにしてペーストを置きます。
スプーンを使った塗り方はもうひとつあります。全体に薄めのペーストを塗り広げたあと、スプーンについているペーストを拭き取りましょう。そのスプーンの腹を先ほど塗ったキャンバスに当てて離し、ツノを立てます。その作業を繰り返し、まんべんなくツノを立ててみましょう。
途中でキャンバスに塗った色とは違う色を載せて、同じようにツノを立てるようにたたいて色をなじませると統一感が出ます。
\ 絵の具とペーストをつかって質感を表現する抽象画 /
まとめ
テクスチャーアートは抽象画なので、自分の思うまま、自由に描くのが最大のポイントです。見本やお手本が無く、色の作り方やペーストの載せ方、道具の使い方さえマスターすれば、あとは自由に作品を作ることができます。
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また、「身近なものが画材に変わる。生活の中のテクスチャーアート」は、ナイフやフォークなど日常にある道具を使ったテクスチャーアートを楽しむレッスンです。気軽な気持ちで楽しめるレッスンなので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。